オーボエのリードの音色
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オーボエってリードだけで吹くと「ビャーッ」という、あまり美しくない音が出ますよね。
実は、中世ヨーロッパでのオーボエって、これに近い音でもあったようなのです。
僕は、この事実をパリにある楽器博物館の、中世楽器の演奏デモテープを聞いて発見しました。
中性ヨーロッパでは、まだ楽器の進化が進んでいなく、管楽器の構造はかなり原始的でした。今でこそさまざまな改良がされていて、オーボエの音色は、がさつなリードの音から繊細で艶やかな音色に「変身」できるのですが、昔はかなりリードそのものの音が管から出ていたようなんですね。
その証拠に、昔イタリアで使われていたオーボエの親戚の楽器に、オーボエ・ダ・カッチャという楽器があります。この楽器の名前を日本語訳すると「狩りのオーボエ」となるのですが、文字通り、狩りをする場面で吹かれていた楽器なのです。
狩りの場面…と聞いて、まさか厳かなミサのような光景をイメージする人はいないと思います。どちらかというと、喧噪にまみれたにぎやかな場面が想像できますよね。
そんな賑やかなシーンで、周りの音にも負けないくらいの存在感を放っていたのが、このオ^ボエ・ダ・カッチャなのですが、その音色はお世辞にも美しいとは言えないものです。
しかし、それがこの楽器の持ち味でもあるのです。
よく、オーボエを吹く人に自分の音が気に入らないとあの手この手で自分の口に負荷をかけて音の矯正をする人がいます。しかし、あなたの出しているオーボエの音は、あなたの口とリードの相性でしかできない、とっても個性あふれる音なのです。
確かに、周りとのハーモニーを考えた時には、自分の音をある程度矯正しなくてはいけないと思いますが、完全にイメージ通りにすることは至難の業です。それよりも、自分の口と、周囲にあった、自分のイメージにとらわれない新しい音作りをしたほうが得策なのではないでしょうか。
オーボエ奏者である以上、もっとリードの音色に耳を傾けるべきでしょう。