オーボエの歴史
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オーボエは吹き口が2枚のリードからなる「ダブルリード」という楽器群に属しています。
ダブルリード楽器には、オーボエのほかに、低音域を担当するファゴットや、オーボエの近縁にあたるイングリッシュ・ホルン、オーボエ・ダモーレ(愛のオーボエ、の意)、オーボエ・ダ・カッチャ(狩りのオーボエ、の意)があります。
珍しいところでは、軍隊の音楽用に作られた金属製のファゴットのようなサリュソフォンという楽器も、本体は金属製ですが吹き口はダブルリードです。
ケルト文化とともに広がったと考えられる、古くからある楽器のバグパイプも、直接リードに口をつけることはありませんが、2枚に重なったリードの隙間に空気を吹き込んで音を鳴らすので、ダブルリード楽器です。
また、鍵盤楽器であるオルガンにも、ダブルリードの仕組みを使って音を発生させるものがあります。
こんな感じで、ダブルリードが関与している楽器というのは多数存在しています。
では、ダブルリードの歴史をもっとさかのぼってみると、どこに行き着くのでしょうか。
まず、有名なダブルリードの楽器に古代ギリシャ文明で使われていた楽器たちがあります。
実際に、ギリシャ文明の生活の中で使われていた記述の残るものから、ギリシャの神々によって演奏されていたという、ちょっとおとぎ話のようなものまで、ダブルリードをつかった楽器の記述は数多く残されています。
当時のギリシャ世界では、現代のように多くの楽器がありませんでした。そんな中でもダブルリードの使われた楽器は、比較的流れるようなメロディーを演奏で着ていたと考えられていて、当時の楽器の中では一歩進んだ楽器だったようです。
では、それ以前はどうでしょうか。いったいどこから、古代ギリシャにダブルリード楽器が伝えられたのでしょか。
このストーリーは、遥か昔の中央アジアまでさかのぼります。中央アジアというと、現在イランやアフガニスタンの位置するあたりです。メソポタミア文明が現在のイラク周辺で栄えましたし、遥か東方には中国という文明の進んでいた国がありました。ヨーロッパ地域から見て”東”という、文明的に進んでいた地域から、ダブルリード楽器という、当時にしてはセンセーショナルな楽器が持ち込まれたんですね。
日本に目を向けてみても、ダブルリード楽器は古くから存在しています。
今でも、お正月によく耳にする「雅楽」(日本の伝統的な音楽)に使われる篳篥(ひちりき)という楽器は、ダブルリード楽器なのです。
ダブルリード楽器の一派であるオーボエは、その後ヨーロッパで栄えた西洋音楽で重要なポジションを得て、音楽の発展や産業の発展と一緒に、現代まで進化していくことになります。時を経るにしたがり、がさつだったリードの音をより美しくするための管の進化があったり、より早いパッセージに対応できるよう、キーの配置の進化や一部金属化などがされました。
普段何気ない楽器にも、じつは深い歴史があるんですね。